「上手いね」も嬉しいけれど、
本当は「あなたらしいね」と言われる歌を歌いたい。

そう思う瞬間って、ありませんか。

自分らしい歌い方は、
どこか遠くにある才能のように感じるかもしれません。

でも実際は、
あなたの“好き”と“選び方”から、ゆっくり育っていくものです。

ここでは、歌の個性の出し方を、
ボーカルトレーニング講師とバンドのボーカル経験、心理学の根拠を交えながら、お伝えしていきます。

個性は「特別さ」ではなく「選び方」

個性というと、
強烈な声質や、派手なアレンジを思い浮かべるかもしれません。

けれど実は、個性はもっと静かなものです。

  • 語尾を少しだけ短くする
  • サビでほんの少し息を混ぜる
  • リズムを少し後ろに置く

そんな小さな選択が重なったとき、聴き手は「あなたらしい」と感じます。

個性とは、あなたがどう歌いたいかの積み重ねによって作られていくのです。
以下のようなステップを踏んでいくと、自分らしさとは何かが少しずつ見えてきて、あなたらしさが形になっていくことでしょう。

STEP1|いろんな歌声を浴びる(材料を集める)

まずは、ジャンルを決めずに聴いてみてください。

ロックでも、R&Bでも、演歌でも。
少しだけいつもと違う方向へ。

なぜなら、脳は「見聞きしたもの」から表現を学ぶからです。
心理学でいう模倣学習、そしてミラーニューロンの働きによって、
聴くこと自体が、表現の準備になります。

歌声を聴くときは、こんな視点で。

  • 息は多め?少なめ?
  • 語尾は伸ばす?切る?
  • リズムは前に進む?少し後ろ?
  • どんな感情で歌っているのか
  • その歌を通じてどんな印象を与えているのか など

正解を探す必要はありません。

ただ、「心が少し動いた瞬間」を覚えておいてください。

そこに、あなたの感性があります。

STEP2|好きな歌手を3人選び、理由を言葉にする

好きな歌手を3人、挙げてみましょう。

そして「なぜ好きなのか」をそっと言葉にしてみます。

  • 声にあたたかさがある
  • サビで感情がふっと広がる
  • 言葉が丁寧に届く

“なんとなく好き”が、
少しずつ具体的になります。

実はここが、とても大切です。

あなたが惹かれる要素は、これから育っていくあなたの歌の方向性でもあるから。好きな理由を言葉にすることは、未来の自分の設計図を書くことに似ています。

STEP3|真似してみる(身体で感じる)

少し勇気を出して、
好きな歌手を真似してみましょう。

完璧でなくて大丈夫です。
まずは1フレーズだけでも。

真似してみると、

「あ、こんなに息を使っているんだ」
「思ったより語尾を短くしているんだ」

と、身体でわかる瞬間があります。

分析だけでは届かなかった部分が、声を通すことで、少しずつ自分の中に入ってきます。

そして複数人を真似しているうちに、

「これは好き」
「ここは自分は少し変えたい」

という感覚も生まれてきます。

その“少し変えたい”が、あなたの個性の芽です。

STEP4|小さなアレンジを足す

いきなり大胆に変えなくても大丈夫。

まずは、小さく。

・語尾をほんの少し短くする
・サビだけ息を増やす
・ビブラートを最後の一回だけにする

そのくらいで十分です。

大切なのは、「自分で選んだ」という感覚。

個性は、偶然生まれるものではなく、選び続けることで自然と形になっていきます。

STEP5|あなたの“型”をつくる

慣れてきたら、自分なりの歌い方の流れをつくってみます。

たとえば、

  • Aメロは距離を近く
  • Bメロで少し広げる
  • サビで芯を出す
  • ラストは余韻を大切にする
  • その時の歌っている感情によって抑揚のつけ方を変えてみる
  • 思い切ってアレンジを入れてみる

こうした“自分の流れ”があると、どんな曲でも自然とあなたの色になります。

それは誰かの真似ではなく、あなたの選び方が積み重なった結果です。

【チェックリスト】あなたの個性が育っているサイン

□ 好きな歌声を意識して聴いている
□ 「なぜ好きか」を言葉にできる
□ 真似をしてみたことがある
□ 小さなアレンジを試している
□ 録音して「よかったところ」を見つけられる

全部できていなくても大丈夫。

ひとつずつ重ねるうちに、声は少しずつ、あなたの輪郭を帯びていきます。

よくある質問

個性を出すとバランスが崩れませんか?

小さな選択から始めれば、自然に馴染みます。
個性は“強さ”ではなく“方向性”です。

真似をすると、自分らしさがなくなりませんか?

複数人を真似すると、
自然に「好きな部分だけ」が残ります。
それが、あなたの配合になります。

自分らしい歌い方がまだよくわかりません

それは、これから育つ余白があるということ。
まずは好きな歌声を3人、選んでみてください。
たくさんその人たちの歌を聴いてみてください。そこに、自分らしさってこれだ!と気づくヒントがあります。

まとめ|自分らしい歌い方は、静かに育つ

歌の個性は、

  1. 聴く
  2. 言葉にする
  3. 真似る
  4. 選ぶ
  5. 形にする

この流れの中で、ゆっくり育ちます。

特別でなくていい。
派手でなくてもいい。

あなたが「こう歌いたい」と思った瞬間から、
もう個性は始まっています。

焦らず、少しずつ。
あなたの声の感触を、大切にしながら。

自分らしい歌とは何か、悩まれた時は今回ご紹介したSTEPを参考にしていただけたら嬉しいです。